2005年9月 9日

ワックスの染み込む原理

ホットワックスは何度も塗り重ねることで、ソールに浸透し結果としてよく滑るボードが出来上がります。

ここでは、なぜボードが染み込むかということを説明していきます。

ソールもワックス(ここではパラフィンワックスのことを指します)も同じポリエチレンで出来ています。

ワックスの硬さは分子量の大きさで決まり、大きいほど硬いワックスとなります。

しかし、ワックスが染み込むアモルファス部分は、分子量の大きい硬いワックスというのは染み込みづらいのです。何故かというと、アモルファス部分の大きさとよりワックス分子の方が大きいからだと思われます。

ちなみに、柔らかいワックスは低い温度で溶け、分子量も小さいので染み込みやすいです。

では、どうやって染み込みやすくするかというと、アモルファス部分の大きさを大きくすれば良いのです。

ポリエチレンというのは、熱を与えると熱膨張を起こします。つまり膨らみます。アイロンでも熱を加えることになります。

結果、アモルファス部分が大きくなり、そこに溶けたワックスが入り込む事になります。

じゃあ、硬いワックスだって染み込むんじゃないの?

そうですね。確かに染み込みます。それでも、もともとアモルファス部分が小さいところは熱膨張してもワックスより小さければ染み込みませんし、ボード全体に硬いワックスを染み込ませようとしているのであれば不十分ですよね。

だから、まず柔らかいワックスを何度も塗り重ねます。えっ!?なぜ?

高温で熱膨張したポリエチレンは、低温になることで収縮します。しかしこの時ワックスが入り込んでいると収縮したくてもできませんよね。もちろん何とか収縮しようとするのですが、繰り返し塗ることでポリエチレンが癖がつきアモルファスが大きくなるんですよ。

その状態が作れてから、分子量の大きい硬いワックスを塗れば、より染み込みようになるんです。

柔らかいものから硬いものへと順々に10〜20回位ホットワックスを塗ればかなり良い状態のベースが出来上がります。

がんばらないと、なかなかできませんよね。大変な作業です・・

投稿者 ayim : 02:19 | コメント (2) | トラックバック

2005年9月 2日

基礎知識2(ワックス)

ソールに続いてワックスの基礎知識についてお話します。

ここでいうワックスは、ホットワックスの事を指しますので、お間違えの無いように・・
液体ワックスや、ペーストワックスについては機会があればやります。

ワックスは何でできているかというと、大きな意味で蝋(ろう)です。原油の蒸留過程で取り出される直鎖状炭化水素が主成分。動植物由来の蝋に替わって広く用いられている。

直鎖状炭化水素・・・鎖状に並んだ炭素と水素・・・えっ!?

そうです。ポリエチレンです。つまりソールと同じ材質で出来ています。

何が違うかというと、鎖の長さ。つまり分子量が違います。
ポリエチレンは、鎖が長いほど硬く、短いほど柔らかくなる性質があるようです。

分子量が違うとはいえ同じ成分なので、相性が良くソールに染み込むのです。

ワックスにはいろいろ種類があって、

ポリエチレンだけで出来ているものをパラフィンワックスといいます。
ソール(高密度ポリエチレン)と比較すると分子量が少ないので低密度ポリエチレンです。

軟化点は、100℃以下です。それ以上の高温はあまり必要ではありません。
硬いワックスはアイロン温度を高くしますよね?
それは柔らかいワックスに比べて分子量が大きい(鎖が長い)ので、より硬い(軟化点が高い)性質を有しているからだと考えられます。

でも、100℃を超える必要は無いわけです。
100℃を超えても溶けないワックスは分子量が大きすぎて染み込まないんじゃないですか?もはや低密度ではないかも・・

パラフィンワックスに対して炭化フッ素をパラフィンワックスに化学的に結合させてものをフルオロカーボンワックスといいます。
フルオロという言葉は本来、フッ素と炭素の化合物を指すので、本当はフルオロカーボンパラフィンワックスというべきかもしれません。

フッ素は常温では気体ですが、他のものと結合しやすく結合すると安定します。
フッ素は、猛毒です。アイロンの温度が高すぎてフッ素が気化してしまうと、当たり前ですが呼吸として吸い込んでしまいますので、特にアイロン温度には注意が必要です。ワックスがギリギリ溶ける温度で作業しましょう・・

おっと、長くなりました。他にも種類がありますが・・今回はこの辺で・・

投稿者 ayim : 23:33 | コメント (0) | トラックバック

2005年8月28日

まずは基礎知識(ソール)

ワックスについて語る前に、基礎知識を説明していきます。

ワックスを塗るために必要なものは・・・・スノーボード、ワックス、アイロン、ブラシ、スクレーパー等などいろいろありますよね。
さまざまな道具がありますが、大切なことはワックスをソールに染み込ませること。染み込ませることで滑走性を高めたり、ソールの酸化を防ぐことです。この目的のためにいろいろなワックスがあって、いろいろな方法があるわけです。

この目標を攻略するためには、まずは敵を知らなくてはなりませんので、今回はソールについて解説します。

ソールはポリエチレンでできています。

ポリエチレンとはエチレンが鎖状に並んだ高分子化合物で高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンがあります。
化学的に安定していて、耐衝撃性、耐寒性、耐水性に優れています。静電気は帯びやすいが、電気を通さない絶縁性です。通常は半透明です。半透明のゴミ袋もポリエチレンです。


エチレン.JPG

ソールは高密度ポリエチレンでできていて、比重は水よりも軽いです。(つまり水に浮きます)
軟化点は130℃です。(つまり130℃で柔らかくなります)

えっ!?

そうです。ソールの温度が130℃を超えるとソールが変質します。(元のものとは違うものに変わってしまいますよ)だから、アイロンの温度には気をつけなくてはいけませんね。

※変質といってもポリエチレンではなくなるという意味ではありません。高温になることでポリエチレンの結合が切れて、冷えるときに再結合しますが、同じ分子量になることはないはずです。(圧力が無いから)

エチレンが鎖状につながり長ければ長いほど高密度になりますが、重合法(いわゆる作り方)の違いで長くなったり短くなったりするので基本的には平均密度で考えます。
鎖が長く安定している部分を結晶(クリスタル)と言い、短い準安定している部分をアモルファスと言います。

つまり、ソールは結晶部分とアモルファス部分で構成されています。結晶部分は安定しているのでワックスを染み込ませることはできません。ちょっと不安定なアモルファス部分にワックスが染み込むのです。

よくソールのことをP-TEXいくつとか言ったりします。P-TEXとは製品名なのですが、その後の数字は大きいほど高分子であることを示しています。(数字は分子量を表していません)
高分子であるほど安定しているので強度が高くなります。しかしアモルファス部分がないとワックスが染み込まないのでソールで使うポリエチレンの場合、高分子ほどアモルファス部分を多くしてバランスをとっています。

高分子のソールを作るためにはシンタードという製法を使います。
簡単に言うと、ポリエチレンを加熱しながら押しつぶして、りんごの皮をむくように板状に成型したものです。
それに引き換え、エクストルード製法というのもあります。
簡単に言うと、加熱されてドロドロになったポリエチレンを、ところてんのように押し出して板状に成型したものです。

エクストルードは、分子量が少ないので強度が弱いため、アモルファス部分を少なくしないとソールとして使えません。だから、あまりワックスが染み込みません。初心者やメンテナンスをしない人には比較的適しています。初心者向けの安いボードに良く使われているようです。(製造コストも安いから)

シンタードは、強度もありアモルファス部分も多いのでワックスが良く染み込みますが、ワックスが無いと格段に滑りが悪くなるので、注意が必要です。

とりあえず、ソールの予備知識として記してみました。ちょっと難しいですしここまで知る必要も無いかもしれませんが、考える人は考えているので「へぇ〜」くらいで良いかもしれません。必要に応じて、文章を追加・変更するかもしれませんので、その辺は悪しからず・・・

投稿者 ayim : 22:51 | コメント (6) | トラックバック

2005年8月25日

はじめに

このカテゴリーでは、ワックスの性能や効果について、できるだけ簡単に説明していこうと思っています。

ワックスの効果としては、大きく二つ

1.滑走性の向上

2.ソールの酸化保護(ソールが白くなってしまうのを防ぐこと)

です。

ワックスを塗ることは、スノーボードの技術向上のためにも大切なことです。

知識を高めることで、ワックスの大切さを実感できると思います。

スノーボードをさらに好きになる一つの要素として、軽い気持ちで読んでみて下さい。

ちなみに、

ここでの内容は、僕が得た知識を分かりやすく解説したもので、僕が実験を重ねて発見したものではありません。
質問等には、僕の持てる知識の範囲でお答えしたいと思いますが無理なこともありますのでその辺はご容赦下さい。
また、どこのメーカーのワックスが良いとか悪いとかという質問にはお答えできかねますので、しないで下さい。

投稿者 ayim : 11:12 | コメント (0) | トラックバック