まずは基礎知識(ソール)
ワックスについて語る前に、基礎知識を説明していきます。
ワックスを塗るために必要なものは・・・・スノーボード、ワックス、アイロン、ブラシ、スクレーパー等などいろいろありますよね。
さまざまな道具がありますが、大切なことはワックスをソールに染み込ませること。染み込ませることで滑走性を高めたり、ソールの酸化を防ぐことです。この目的のためにいろいろなワックスがあって、いろいろな方法があるわけです。
この目標を攻略するためには、まずは敵を知らなくてはなりませんので、今回はソールについて解説します。
ソールはポリエチレンでできています。
ポリエチレンとはエチレンが鎖状に並んだ高分子化合物で高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンがあります。
化学的に安定していて、耐衝撃性、耐寒性、耐水性に優れています。静電気は帯びやすいが、電気を通さない絶縁性です。通常は半透明です。半透明のゴミ袋もポリエチレンです。
ソールは高密度ポリエチレンでできていて、比重は水よりも軽いです。(つまり水に浮きます)
軟化点は130℃です。(つまり130℃で柔らかくなります)
えっ!?
そうです。ソールの温度が130℃を超えるとソールが変質します。(元のものとは違うものに変わってしまいますよ)だから、アイロンの温度には気をつけなくてはいけませんね。
※変質といってもポリエチレンではなくなるという意味ではありません。高温になることでポリエチレンの結合が切れて、冷えるときに再結合しますが、同じ分子量になることはないはずです。(圧力が無いから)
エチレンが鎖状につながり長ければ長いほど高密度になりますが、重合法(いわゆる作り方)の違いで長くなったり短くなったりするので基本的には平均密度で考えます。
鎖が長く安定している部分を結晶(クリスタル)と言い、短い準安定している部分をアモルファスと言います。
つまり、ソールは結晶部分とアモルファス部分で構成されています。結晶部分は安定しているのでワックスを染み込ませることはできません。ちょっと不安定なアモルファス部分にワックスが染み込むのです。
よくソールのことをP-TEXいくつとか言ったりします。P-TEXとは製品名なのですが、その後の数字は大きいほど高分子であることを示しています。(数字は分子量を表していません)
高分子であるほど安定しているので強度が高くなります。しかしアモルファス部分がないとワックスが染み込まないのでソールで使うポリエチレンの場合、高分子ほどアモルファス部分を多くしてバランスをとっています。
高分子のソールを作るためにはシンタードという製法を使います。
簡単に言うと、ポリエチレンを加熱しながら押しつぶして、りんごの皮をむくように板状に成型したものです。
それに引き換え、エクストルード製法というのもあります。
簡単に言うと、加熱されてドロドロになったポリエチレンを、ところてんのように押し出して板状に成型したものです。
エクストルードは、分子量が少ないので強度が弱いため、アモルファス部分を少なくしないとソールとして使えません。だから、あまりワックスが染み込みません。初心者やメンテナンスをしない人には比較的適しています。初心者向けの安いボードに良く使われているようです。(製造コストも安いから)
シンタードは、強度もありアモルファス部分も多いのでワックスが良く染み込みますが、ワックスが無いと格段に滑りが悪くなるので、注意が必要です。
とりあえず、ソールの予備知識として記してみました。ちょっと難しいですしここまで知る必要も無いかもしれませんが、考える人は考えているので「へぇ~」くらいで良いかもしれません。必要に応じて、文章を追加・変更するかもしれませんので、その辺は悪しからず・・・
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