リフトアップ
ボードとバインディングの間に挟んで使うリフトアップというパーツがあります。
いくつかのメーカーから作られていますが、burtonならelevator(エレベーター)・GREXならFCXという名称で販売されています。
はたして何のために使うんでしょうか。。。
形は円形や長方形で、厚さが約1~2cm程あります。
まず、装着するとバインディングの位置が1~2cm上に挙がります。(当然です。そのための道具ですから。。)
でも、バインディングを上に挙げることでどんな効果がもたらされるのでしょうか。。
大きく2つの効果があります。
まず1つめ。足の大きな人、またはより細いボードを使いたい人のためです。
スノーボードの幅はある程度の幅に決まってしまっていて、極端に太いボードや細いボード(アルペンは別)というものはないですよね。フリースタイルボードであれば23~26cm位ですよね。
でも人間の足というものは、極端に大きい人っていますよね。(特に背の高い人。。)
すると、ボードからブーツがはみ出てしまい、ターン中にブーツが雪面を引きずってしまいます。
結果として、エッジがかかる前にブーツが雪面に当たってしまってカービングがしづらくなってしまうんです。
それくらいならまだ良くて、アイスバーンだったらまともにターンすら出来ないかもしれません。
それを防ぐためには、ブーツがはみ出ないようにバインディングを取り付ける必要があります。
(前向きの角度を強くしたり、ダックスタンスを強くする)
でもそれは本来やりたくてやっているものではありません。
できれば自然にセッティングしたいはずです。
そういう時に効果があります。
リフトアップする事で、ブーツと雪面との距離が離れることによって、ブーツを引きずることを解消してくれます。
たかが1cmで?
そうなんです。1cmで十分なんですよ。ほぼ問題ありません。
そりゃー足のサイズが30cmでアングル0度・0度で乗りたいって言われたら対応できないかもしれませんが。。
また、ボードは細いことでサイドカーブを深く作れるので、カービングボードは細めに作られています。
同じ理論で、自分のサイズから考えたボードよりも細身のボードを選択する事が、このリフトアップによって可能になります。
2つ目の効果は、カービング性能が上がることです。ほとんどの人はこのメリットの為に使っていると思われます。
ほんとですかぁ~?
本当です!
ちょっと難しくなりますが。。。
内傾をとる時、ボードを支点とした重心の軌道を考えると、ボードが動かないと仮定すれば重心は円弧を描きます。
リフトアップした時としない時を比較すると、リフトアップした時は重心も上に挙がっているので、
雪面から重心までの距離を半径とすれば、リフトアップした時は半径が長くなるので、当然円弧も長くなります。
これは何を意味するのかというと、
ボード角付けの調整力が上がることを意味します。
円弧が長くなるということは、重心の移動距離が長くなるのですが、長くなることでその距離間を無段階にコントロールする事が出来るようになります。
当然乗っている人間は無意識なのですが効果はあります。
また、リフトアップすることで左右のターン弧を均等にしやすい効果もあります。
なぜかというと、
スノーボードは基本的にフロントサイドとバックサイドでボード上の荷重ポイントが異なります。
つま先とカカトの構造の違いや左右のアングルの違いが原因です。
しかし、リフトアップによって左右の荷重ポイントを揃えることが可能になります。完全に一致するわけではありませんが、何もないよりは意識が少なくて済みます。
さらに一つ目の効果から、何もないより強い内傾を取ることが可能(ブーツが当たらないから)です。
また、重心が挙がることでテコの原理で言う、支点から力点までの距離が長くなるため、少ない力でコントロールできる効果も少なからずあると思います。
と、良いことづくめのパーツなのですが、当然デメリットもあります。
まずは、重くなる。
素材は樹脂ですが、無いよりは重くなります。
また、きれいなたわみが出づらくなります。
理由は、
スノーボードはボード全体が綺麗にたわむことで、綺麗なカービングのターン弧を描きます。
バインディングも含めてボードに直接付けられているものは、その部分で、ボードが綺麗にたわむことを阻害してしまうのです。
リフトアップはバインディングより大きいため、その悪影響はさらに大きなものとなってしまいます。
たわみづらくなるので、結果としてはボードが固くなったような感じになります。
そして、デメリットといえるかどうかは分かりませんが、カービングしやすくなるということは、逆にズラしにくくなること意味します。フラットバーンなら大きな差ではないかもしれませんが、コブ斜面だと滑りづらくなるでしょうね。
じゃあだめじゃないの?
う~ん。
この辺は、確かに微妙です。
でも、効果はあります。実際に「なんか違う」と体感できるパーツでもあります。
脚力が有り余っていて、もっとハイスピードで内傾をとりたいというスノーボーダーには最適なパーツと言えるでしょう。
ただ、このパーツが本当に必要かどうか良く考えてから使うことをお勧めします。
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