ワックスの染み込む原理

ホットワックスは何度も塗り重ねることで、ソールに浸透し結果としてよく滑るボードが出来上がります。
ここでは、なぜボードが染み込むかということを説明していきます。


ソールもワックス(ここではパラフィンワックスのことを指します)も同じポリエチレンで出来ています。
ワックスの硬さは分子量の大きさで決まり、大きいほど硬いワックスとなります。
しかし、ワックスが染み込むアモルファス部分は、分子量の大きい硬いワックスというのは染み込みづらいのです。何故かというと、アモルファス部分の大きさとよりワックス分子の方が大きいからだと思われます。
ちなみに、柔らかいワックスは低い温度で溶け、分子量も小さいので染み込みやすいです。
では、どうやって染み込みやすくするかというと、アモルファス部分の大きさを大きくすれば良いのです。
ポリエチレンというのは、熱を与えると熱膨張を起こします。つまり膨らみます。アイロンでも熱を加えることになります。
結果、アモルファス部分が大きくなり、そこに溶けたワックスが入り込む事になります。
じゃあ、硬いワックスだって染み込むんじゃないの?
そうですね。確かに染み込みます。それでも、もともとアモルファス部分が小さいところは熱膨張してもワックスより小さければ染み込みませんし、ボード全体に硬いワックスを染み込ませようとしているのであれば不十分ですよね。
だから、まず柔らかいワックスを何度も塗り重ねます。えっ!?なぜ?
高温で熱膨張したポリエチレンは、低温になることで収縮します。しかしこの時ワックスが入り込んでいると収縮したくてもできませんよね。もちろん何とか収縮しようとするのですが、繰り返し塗ることでポリエチレンが癖がつきアモルファスが大きくなるんですよ。
その状態が作れてから、分子量の大きい硬いワックスを塗れば、より染み込みようになるんです。
柔らかいものから硬いものへと順々に10~20回位ホットワックスを塗ればかなり良い状態のベースが出来上がります。
がんばらないと、なかなかできませんよね。大変な作業です・・

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